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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

12 名高かった店などの印象

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,857 字 · 10 页

青空文庫

此所にはまた菜飯茶屋という田楽茶屋がありました。小綺麗な姉さんなどが店先ででんがくを喰ってお愛想をいったりしたもの、万年屋、山代屋など五、六軒もあった。右側に古本屋の浅倉、これは今もある。それから奴(鰻屋)。地形が狭まって田原町になる右の角に蕎麦屋があって、息子が大纏といった相撲取りで、小結か関脇位まで取り、土地ッ児で人気がありました。この向うに名代の紅梅焼きがありました。

観音堂に向っては右が三社権現、それから矢大臣門(随身門のこと)、その右手の隅に講釈師が一軒あった。

門を出ると直ぐ左に「大みつ」といった名代な酒屋があった。チロリで燗をして湯豆腐などで飲ませた。剣菱、七ツ梅などという酒があった。馬道へ出ると一流の料理屋富士屋があり、もっと先へ出ると田町となって、此所は朝帰りの客を招ぶ蛤鍋の店が並んでいる。馬道から芝居町へ抜けるところへ、藪の麦とろがあり、その先の細い横丁が楽屋新道で、次の横丁が芝居町となる。猿若町は三丁目まであって賑わいました。

山の宿を出ると山谷堀……越えると浅草町で江戸一番の八百善がある。その先は重箱、鯰のスッポン煮が名代で、その頃、赤い土鍋をコグ縄で結わえてぶら下げて行くと、