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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
19 上野戦争当時のことなど
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,952 字 · 10 页
何処でね」
「上野ですよ。上野へ彰義隊が立て籠っていましょう。それが官軍と手合わせを始めるんだそうで。どうも、そうと聞いては安閑とはしていられないんで、夜夜中だが、こちらへも知らせて上げようと思って、やって来たんです。どうも大変なことになったもんだが、一体、どうすれば好いのか、まあ、そのつもりで皆で注意するだけは注意しなくちゃなりませんね」
など、いかにも不安そうに話している。
やがて、下職は帰ったが、さて警戒のしようもない。夜が明けたら、また何んとかなろうなぞ師匠は私たちにも話しておられたが、ふと、上野で戦争ということで気が附いて困ったことは、ちょうど、そのいくさのあるという上野の山下の雁鍋の真後ろの処(今の上野町)に裏屋住まいをしている師匠の知人のことに思い当ったのであります。
その人は師匠の弟弟子で杉山半次郎という人、鳳雲の家にて定規通り勤め上げはしたけれども、業がいささか鈍いため、一戸を構える所まで行かず、兄弟子東雲の手伝いとなって仕事をさせてもらっていたのでありました。師匠は、この半次郎のことを心配しだしたのであった。
「幸吉、半さんが山下にいるんだが、困るなあ」