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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

23 家内を貰った頃のはなし

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,891 字 · 10 页

青空文庫

私の年季が明けると同時に、師匠東雲師はまず私の配偶者のことについて心配をしておられました。もっとも年の明ける前から心掛けておったようです。これは親たちも感じていたことでありましょう。母もその頃は大分弱っておりましたので、相当なものがあれば、早く身を固める方がよいと思っておったことと思われます。

しかし、この方のことは私は至って暢気で、能く考えて見るほどの気もありませんでした。というは、両親が揃っていて、その上に家内を持つとなると、責任が三人になる。その上四人五人になることと思い、只今の自分の境遇として、経済上、それだけの責任を負うことは大分荷が重い。で、今の所、もう三、四年も働いて、いささか目鼻が明き、技倆も今一段進歩した時分、配偶者のことなど考えて見ても決して遅くはないと思っていたのであった。それに当時の自分では、本当に、自分としても、まだ自分の技倆が分らぬ。他人の中へ出て、いよいよ一本立ちとなった場合、どういう結果になるものか、どうか、まだ、今日の場合、浮々と配偶者のことなどに係わっていることは出来ないという考えであったのでした。

けれども、師匠は私がどう考えているかは頓着もなく、いろいろ相当と思うような人を見つけて来たり、時には師匠の家へそうした人を置いたりしたこともあった。