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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
26 店初まっての大作をしたはなし
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,192 字 · 9 页
私は最初はこの人を三十以上の年輩と思っておったが、二十四と聞き、自分の年齢に比較して、まだ二つも年下でありながら、知らぬ国へ渡って、これだけ、立派に斬り廻して行くというは、さてさて豪いもの、国の文明が違うためか、人間の賢不肖によるか、いずれにしても我々は慚愧に堪えぬ次第であると、私は心秘かにこの人の利溌さに驚いていたのであった。
このベンケイが師匠の家に来るようになった手続きというのは、当時菊池容斎の高弟に松本楓湖という絵師があった。この人は見上げるほどの大兵で、紫の打紐で大たぶさに結い、まち高の袴に立派な大小を差して、朴歯の下駄を踏み鳴らし、見るからに武芸者といった立派な風采。もっとも剣術なども達者であるとか聞きましたが、当時、住居は諏訪町の湯屋の裏にあった。アーレンス商会では同商会の職工に仕事をさせるその下絵をこの楓湖氏に依頼していたので、今の番頭ベンケイがその衝に当っている所から知り合いの中であったから、折々、楓湖氏はベンケイを伴れて駒形町時代から師匠の店に彫刻類を見に来たことがあったが、今度楓湖氏を介して改めてベンケイが東雲師へ仕事を依頼すべく参ったわけであった。