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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

26 店初まっての大作をしたはなし

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,192 字 · 9 页

青空文庫

当時の楓湖氏は今日の帝室技芸員の松本楓湖先生のことで、私よりもさらに五、六年も老齢ではあるが、壮健で谷中清水町に住まっておられます。毎年の帝展へは必ず出品されております。

当日は両人で来て、仕事を頼むというので、どういう御注文かというと、唐子が器物を差し上げている形を作ってくれという。それは何に用うるかというと洋燈台になるので、本国からの注文であるということ。高さは五尺位で一対。至急入用であるから、そのつもりにて幾金で出来るかつもりをしてくれという。唐子は生地だけを作ってくれれば、彩色は自分の方でするということであった。私もちょうど病気全快して師匠の家で仕事をしていた時であるから、これらの応対を聞いておった。

楓湖氏とベンケイが帰ると、間もなく、師匠は私に向い、

「幸吉、今夜、夜食に行こうではないか」

といわれるので、私は師匠と一緒に夕方外へ出ました。観音様の中店の「燗銅壺」といった料理店で夜食をしながら、師匠は少し言葉を改め、

「幸吉、実は、今度、お前に骨を折ってもらわなくちゃならないことが出来たんだ。一つ確かりやってもらいたい」

今の洋燈台の注文が来たことを師匠は話されて、一切万事私に製作の方を仕切ってやってくれろという相談に預かりました。