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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

26 店初まっての大作をしたはなし

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,192 字 · 9 页

青空文庫

ところが、今も申す通り、丈五尺の唐子で一対という注文、今日ではなんでもないが、その当時、徳川末期のドン底の、すべて作品が小さくなっている時代の彫刻界では、丈五尺というと、まずなかなかの大物であって、師匠の店においても、店初まって以来の大作であった。それを私が一個の手でそれを製作するというは容易ならぬ重任、生やさしいことではこの役目は出来ないのであるから、私も修業のためにもなることゆえ、一層勇気も出て、師匠のたのみを引き受けることに承知しました。

話がきまれば、早速つもりをして見ると、店初まって以来の大作で、したがってまた店初まって以来の高価な注文品――およそ、どの位の値段になったかというと、それが、よほどおかしい。一つが百二十円、一対で二百四十円という算盤になった。もっとも、私の手間一年で百円にはなりませんでした。これが江戸でも屈指の大店を張っている大仏師東雲の店初めての金高でありました。

さて、私はいよいよ製作に取り掛かることになる。

唐子の下絵は楓湖氏の筆になったもので、それを見本として雛形を作る。ところが、その唐子というものはお約束通り、ずんぐりとした身長のもので大層肥太っている。