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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

54 好き狆のモデルを得たはなし

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,211 字 · 7 页

青空文庫

私が手紙を附けて上げますから、誰かお弟子を使いに上げて下さい」

ということになった。

戸川さんの親類の荒物屋というのは、これもお武士の微禄された方で、荒物渡世をしてどうにかやって行かれているのだと合田氏の話。何はとまれ、狆が其処にいてくれれば好いと、私は国吉を使いにやった。

「もし、狆が荒物屋にいなかったら、行った先を其処で聞けば分ります。郡部へ伴れて引っ込んだか人にやったか、当りは付きます。その事をよく聞き正して見て下さい」

合田氏はいろいろ注意して下さる。

毎度国さんは御苦労だが、例の中風呂敷を持って出掛けました。近所のことなり、若い者の足で間もなく帰って来た。話を聞くと、狆は荒物屋にはいないということ。

「狆は、もういないのかね」

「ええ、狆は荒物屋にはいません。ですが、四谷の親類の方にいるんだそうです」

「四谷にいると、本当に」

「いるんだそうです。それで荒物屋さんの御主人が、私が附手紙を四谷へ書いてあげるといって、それを貰って来ました。これを持って四谷へ行けば、狆は多分貰えるだろうということです。私は直ぐ四谷へ行こうと思いましたが、ちょっとお知らせしてからと思って帰って来ました」