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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

67 帝室技芸員の事

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,675 字 · 8 页

青空文庫

氏は我々よりも先へ世の中へ出て交際の範囲も広く、世間的智識も広いのに、今の話で見ると、この事の当りが附かないものと見えるなと思っていると、橋本雅邦先生も食堂へ見えて、

「あなた方のところへもお呼び出しがあったのですか。私の許へもありました。あれはなんでしょう」とやはり同じことをいっている。

三人は一緒になって、さて何んのことだろうなど話し合いましたが、結局、宮内省で絵画並びに彫刻でもお買い上げになるので、我々にその鑑定をしろと仰せ附けられるのであろう。というような推測に一致しまして、とうとう「それに違いありますまい」と決めてしまいました。

こういうわけであったから、出頭の当日まで実際何んのことであるか、さらに容子が分らないのであった。

さて宮内省へ出頭すると、お呼び出しに預かった人々が出頭致しておった。……しかし、それは少数で橋本雅邦先生より、もっと、ずっと年を老った狩野永悳先生という老大家、この人はその頃根岸に住まっていて、八十以上の高齢であったから、出頭するに不自由であったか、代理の人が出ていた。それから、加納夏雄先生、この方も私などから見れば遥かな年長者。