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ひらがたけとうはんき
平ヶ岳登攀記
高頭 仁兵衛
「山岳 一〇の三」1916(大正5)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,907 字 · 27 页
ことになって、折角白井が尽力してくれたのも画餅となった、大久保某の言に拠ると、只見川の上流の白沢を登るが便利というので、この登路は林治は知らないのである、大久保某に断られてから白沢の登路を変更して、林治を案内として中又川を登ることに決定した、さていよいよ多年の宿望を果す日が来たかと、早朝に起きて見ると快晴である、急いで結束していざ出発となると、人夫が一人いなくなっている、元来湯谷村は行き詰りの山村であって、大湯と橡尾又の二温泉があるから、他所から這入る人の過半は遊びに行くので、土地相応の贅沢はすることになる、随って土着の人には他所から来て少しでも知られている者からは、かかり合いに余徳があるものと考えているものが多い、銀山平開墾事業が起って、白井が高橋農場の主任となってからは、賃金を一定するとか、その他にいろいろ改良を試みたので、表面からは誰れも文句を出すものはないが、裏面では反感不平を抱いているものもある、その復讐か否かそこまでは知らないが、人夫の一人の労働の割合に賃金が不足だというて、前夜白井に叱責された男が、今朝になって急に病気になったから帰えるといい出して、林治と今一人の人夫が様々に説諭したが、白井が自分の所へ来ている