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としちゃんとハーモニカ

年ちゃんとハーモニカ

小川 未明

「教育・国語教育 5巻9号」1935(昭和10)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,704 字 · 4 页

青空文庫

年ちゃんの友だちの間で、ハーモニカを吹くことが、はやりました。はじめ、だれか一人がハーモニカを持つと、みんながほしくなって、つぎから、つぎへというふうに、買ったのであります。けれど、みんなは、それを吹き鳴らすことを覚えないうちに、やめてしまったけれど、年ちゃんだけは、べつに教わりもせずに、いろいろの歌を吹けるようになりました。

「学校のことが、そういうふうにできるといいのですけれどね。」と、お母さんが、おっしゃいました。

「いや、なんだって、上手になればいいさ。年坊は、音楽家になるかな。」と、お父さんは、笑われました。

しかし、学校のことは、ハーモニカのようには、ゆきませんでした。それだけでなく、試験が近づいてきても、年ちゃんは、遊んでばかりいるので、お母さんは心配なさいました。

「そんなに遊んでいてもいいのですか?」

そうお母さんにいわれると、さすがに、年ちゃんも心配になるとみえて、ご本を出したり、また、お姉さんや、お兄さんから算術のわからないところをきいたりして、勉強をしましたが、それも、そのときだけで、いつかまた遊んでしまったのです。

やがて、試験も終わり、いよいよ今日は、通信簿をもらうのでありました。