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ねんぷ

年譜

宮本 百合子

「現代文学全集 第五十六巻」改造社(1931年までの年譜)、1931(昭和6)年3月、「宮本百合子研究」津人書房、1948(昭和23)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,820 字 · 36 页

青空文庫

一八九九年(明治三十二年)

二月十三日。東京市小石川区原町で生れた。父中條精一郎(建築家)母葭江。

生後十ヵ月から満三歳まで両親と札幌で育った。

一九〇五年(明治三十八年)

東京市本郷区駒本尋常高等小学校へ入学。父はイギリスへ行っていた。小さいベビー・オルガンが一台うちにあって、茶色絹のバラの花簪をさした若い母がそれを鳴らし、声はりあげて「ウラルの彼方、風荒れて」と歌った。軍艦のついたエハガキに、母がよく細かい字をぎっしり書いてイギリスの父へやっていた。正月で、自分はチリメンの袂のある被布をきせられていた。母が急に縁側へ出て槇の木の下に霜柱のたっている庭へ向い「バンザーイ! バンザーイ!」と両手を高く頭の上にあげ、叫んだ。声は鋭く、顔は蒼く、涙をこぼしている。自分はびっくりして泣きたくなり、だが母についてバンザイと云った。そしてわきに並んで手をあげたら袂がそれは重かった。――日露戦争はこんな形で自分の記憶にのこっている。

一九〇七年(明治四十年)

〔六月〕、父かえる。

一九一〔一〕年(明治四十〔四〕年)

本郷誠之尋常小学校卒業。お茶の水高女入学。

夏休みに小説の処女作を書いたが、いつの間にか何処かへなくしてしまった。