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こうふくにくらしたふたり

幸福に暮らした二人

小川 未明

「童話」1923(大正12)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,713 字 · 12 页

青空文庫

」といって、銀貨をみんなに示しました。

「ここに書いてある怖ろしい人が、その王さまなのだ。」

太陽の光はまぶしく、銀貨の面に反射しました。みんなは、この光をおそれるように後退りをしました。そして、目をみはりました。

「えらいものを持ってきたものだ。俺たちは、まだこんな光るものを見たことがない。」

みんなは、手に手に、武器を持っていました。それは、竹槍や、たまたま海岸に打ち上げられた難破船に着いている、鉄片で造られた剣のようなものでありました。しかし、彼らはまだ、こんなにぴかぴか光る金属を見たことがなかったのであります。

そのとき、いちばん狡猾な、悪智恵のある年とった男だけは、みんなが手にとって不思議そうにながめている銀貨に、自分一人は手を触れようともせずに、すこし隔たったところから、みんなのようすを嘲笑った目でにらんでいました。

「あのぴかぴか光るものは、いつか俺のものになるんだ。ばかものめ。」と、その目つきはいっているのでした。

この不思議な光るものが、部落に入ってきてからは、みんなにもそれが欲しいという欲望が起こりました。

「人間の頭蓋骨よりか、あのぴかぴか光るものに描いてある頭のほうがいい。