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こうふくのけんせつ

幸福の建設

宮本 百合子

婦人民主クラブ主催講演会の速記原稿、1946(昭和21)年4月8日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,347 字 · 30 页

青空文庫

だから結婚などと申しましても、何も女の幸福ということが眼目ではございませんで、昔からたくさんあるいろいろなお話をお読みになってもわかる通りに、戦国時代の女の人と申しますのは、父や兄という人達が戦略上自分が一番喧嘩しそうな敵へ人質として自分の妹や娘をくれるのであります。そして一時講和条約の人質にしたわけです。そういうようにして結婚させられました女の人がどんな生涯を送ったかと申しますれば、幸にしてそこで無事に子供をもって一生終ればよかったけれども、なかには自分の実家の兄弟と夫の家族とがまた再び戦さを起した時には、その女の人達は自分の家族の血統のものだから、生んだ子を捨てて実家の方に引取られる。或はまたそれに満足しなかった女の人は、自分の親兄弟の兵に攻め立てられて城のなかで自害して死んだという例がたくさんございましたし、また人間らしい気持で私共ひどく感動させられる話もなかにはある。それはやはり戦国時代の話で、私共その名は忘れたのですけれども、ある大名の娘が大へん美しい人で、やはり人質のように結婚させられて娘が三人ございました。ところが自分の親達と夫とが戦さを始めて、いよいよ夫の城に火をかけられることになった。