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ゆうれいせんのひみつ

幽霊船の秘密

海野 十三

不詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,846 字 · 62 页

青空文庫

それは惨状のうちにもなにかもっと彼等に役立つことが、ありはしないかとおもったからであった。

「おれは、だんぜんこの仇うちをしなければ腸が癒えないんだ。幽霊船をみつけ次第、おれはそのうえに飛びのってやる。そして幽霊どもを、これでぶった斬ってやるんだ」

そういって、腰のジャック・ナイフを握りしめる船員もあった。

「おいおい、あれを見ろ。あのとおり、腕をひき裂きやがった。一度斬りつけただけでは足りないで、三筋も四筋も斬りつけてある」

「うん、まるでフォークをつきこんで、ひき裂いたようだなあ」

「ああ、猛獣の爪にひき裂かれたようではないか」

船長は、彼等の会話をきいて、ともに涙をのんだ。

二号艇には櫂がなかったが、一号艇にはぎっしり人がのっていたので、その一部が二号艇にのりうつることにした。

古谷局長と、貝谷という射撃のうまい船員と、そのほか六名の船員がのりこんだ。こうして二手にわかれて、また海を漂うことにした。

二号艇へのりこんだ古谷局長は、一同をさしずして、艇内の血を洗ったり、僚友の遺骸の一部分を片づけたりした。そのうちに太陽はだんだん西の水平線に傾き、大空一杯に、豪快なる夕焼がひろがった。