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ゆうれいせんのひみつ
幽霊船の秘密
海野 十三
不詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,846 字 · 62 页
貝谷は、もう覚悟をきめていた。
「待て! 五発の弾丸を撃ったあとを考えると、そう簡単に撃つわけにいかないぞ。弾丸がなくなれば、われわれもまた、この汽船の乗組員と同じ運命に陥って、猛獣に喰われて白骨になるではないか。撃つのはしばらく待て!」
猛獣は、ものすごい声をあげて咆哮する。どれもこれも、腹がへっているらしい。この咆哮につれて、檣の下には刻々と猛獣の数が殖えてゆく。(ふーん、一体この船には何十頭の猛獣がいるのかしら)と貝谷が、溜息とともに呟いた。檣の下には、今や少くとも九頭か十頭のライオンと豹が集っている。和島丸の船員たちは、檣の上にしがみついたまま生きた色もない。
貝谷は、積みあげたロップの蔭から、猛獣の動静をじっと見守っている。
その後で、古谷局長は、しきりに智慧をしぼっていたようであったが、「そうだ、いいことがある!」と叫んで、貝谷の肩を叩いた。
「とにかく、このままでは、猛獣の餌食になるばかりだ。おい、貝谷。おれはこれから、船内へ入って、銃かピストルかを探してくるから、お前はここで頑張っていてくれ」
「なんですって、局長。あなたひとりで船内へ入っては危い!」