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ゆうれいぶね
幽霊船
小川 未明
「赤い鳥」1924(大正13)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,633 字 · 8 页
みんなは、くまが渡れなかったので、安心をしましたが、そのくまが、それから、どこまで流れてゆくだろうと思うと、かわいそうな気がしました。
こんなようなことのある、北の方に起こったできごとであります。いま、それをお話いたしましょう。
「もう、氷山もこなくなった。海の上は、穏やかだから、漁に出かけよう。」というので、三人の漁師は、ある日のこと、船に乗って、沖の方へこいでゆきました。
三人は、沖にあった、一つの島に近づきました。その島には、だれも住んでいませんでした。この島には小さな湾があって、よくこの湾の中にたくさん魚がはいっていることがあります。それで、漁師は、時分を見はからって、この島に立ち寄っては漁をします。獲れるときには驚くほど、獲れることもありました。
三人は、湾の中に、船を進めてようすをうかがいますと、たくさん魚がはいっているけはいがしました。
「これは、しめたものだ」
「しめたぞ!」
三人は、勇みたちました。そして、網を下ろして引くと、はたして、こんなに獲れたことがいままでにもなかったほど、たくさん獲れたのであります。これをばみんな船の中にいれたのでは、これから、もっと沖へ出て仕事をするのに邪魔になりましたから、獲れた魚を島の浜辺に上げておいて、帰りに持ってゆこうということにしたのであります。