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きかがくとくうかん

幾何学と空間

戸坂 潤

「思想 第五六号、第五七号」

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,420 字 · 74 页

青空文庫

に於て計量と関係を持たずにはいられない公理である。結合や順序の公理に於ては全く場合が異るのを思い起こせばこの意味は明らかとなるであろう。平行線公理がこの意味に於ては計量的である所以は更に平行線公理と空間曲率との関係に於ても現われる。平行線公理に曲率という計量的概念を付与すると否とは自由であるが、一旦この概念を付与した以上、平行線公理は曲率の値をある意味に於て決定しなければならぬものである。一言にして云えば平行線公理は直角とか曲率とかいう角又は線の計量の絶対的な単位に関係するものである。さて射影幾何学と計量幾何学とを区別せしめたかの三つの公理群は何れも計量を云い表わす公理に外ならないことが明らかとなった。それ故私は一歩を進めて幾何学をば、公理に従って分類するよりも寧ろ公理に含まれる根本的な予想に従って分類することに思い至らなければならない。計量を含む幾何学――所謂計量幾何学即ち座標幾何学は少くともその一部分である――を一般に量的幾何学と名づけ、之に反して計量を含まぬ幾何学を一般に質的幾何学と名づける。かくて私は始めて本質的な分類を得ると思う。何となれば幾何学が質的であるか量的であるかはそれが本質的であるか本質的でないかの問題となることをやがて吾々は知るであろうから。