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きかがくとくうかん

幾何学と空間

戸坂 潤

「思想 第五六号、第五七号」

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,420 字 · 74 页

青空文庫

その根源性はこれに基いている、というのである。シュトゥンプフは空間表象――それは一つの感覚内容である――と他の感覚内容とが不可分であることを指摘するのに色と延長との関係を一例として提供する。色と延長とは各々独立に変化することが出来る。一定の拡りが赤ともなり青ともなると同時に、一定の赤が大きくもなり小さくもなる。併しながら色と拡りとが独立に存在し得るのではない。ある拡りを持った赤が、その拡りを次第に小さくして零とすれば、これと共に赤も突如として無色となる。即ち少くとも色の存在は形の存在に依存している、と(S. 139)。併し之に対して私は次のように論じることが出来る。例えば赤い円が次第に小さくなって零となれば赤も消えるというが、逆に赤い円の色が次第に褪せて無色となったとすれば如何なるか。なる程円という形も消えて了うかも知れない。併し形が消えても空間表象が消えたことにはならない。円はそのままでありながら赤い色が円周から次第に褪せて行く――即ち赤い円が次第に小さくなって行く――とも考えられるから、円が消えたと見えてもそれと同時に円の元のままであると考えることも出来る筈である。