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きかがくとくうかん

幾何学と空間

戸坂 潤

「思想 第五六号、第五七号」

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,420 字 · 74 页

青空文庫

即ち彼をして誤解せしめた処のものは正に、空間表象が感覚的内容を持つという立場そのものである。であるから空間が根源的であるのを知るためには空間感覚及び空間知覚という概念を放擲しなければならない。このような概念に執着する限り如何なる心理学者も――シュトゥンプフすらも――空間の根源性を摘出することは出来ないであろう。

空間感覚或いは空間知覚という概念に較べれば空間直観という言葉はより有効に用いられる。向に直観は思惟に対する制限として消極的に定義されたが――二を見よ――今の場合には仮に直観をば感覚を含む場合と之を含まない場合とに区別しなければならぬ。もし普通に直観は凡て感覚を含むものと定義されているならば之を感覚を含まないものにまで拡張しなければならぬ。感覚を含むものを経験的直観、感覚を含まないものを之に対して仮に純粋直観と名づけよう。然るに空間表象は前に述べたことによって感覚を含むべきものと考えてはならない。言葉を換えて云えば空間表象の内に感覚が位置を占めて現われるのは差閊えないが、空間表象自身が感覚に由来する――そうすれば空間感覚或いは空間知覚の概念を生じる――のであってはならない。