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いくどめかのさいご

幾度目かの最期

久坂 葉子

久坂葉子『幾度目かの最期』。同一底本的分册已合并为一书。收入:幾度目かの最期、女、鋏と布と型、四年のあいだのこと。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,103 字 · 121 页

青空文庫

二十七日。私は、鉄路のほとりに会うため、大阪へゆきました。青白き大佐から、電話があり、大阪へ一しょに行ったのです。もう、彼と一しょにいるのが嫌で嫌で。電車の中でも、私は故意に眠ったふりをしていました。そして、大阪のとある喫茶店から、鉄路のほとりの行ってそうなところへ電話をしました。不在でした。私は、青白き大佐にわかれて、もう一つの場所、鉄路のほとりが行ってそうなところへゆきました。そこにも居ませんでした。そこは、緑の島がいるところです。私は彼に会ってみようかと思いました。その心の動きは、私自身説明出来ぬものです。わりきれぬものです。然し、緑の島は居りませんでした。私は、いつもの喫茶店へゆき、もう一軒、鉄路のほとりの居そうなところへ電話をしました。居ました。彼の声はひどく冷淡なものでした。待っているように云われました。じきに来るような様子でした。ところが、一時間半、いや二時間も待ったでしょうか。彼はきません。私はおちつきませんでした。私の好きな、フランチェスカッテーのヴァイオリンを耳にしながら、パーガニーニとサンサーンス。心はざわめいておりました。