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はいとうだいのかいちょう
廃灯台の怪鳥
山本 周五郎
「少年少女譚海」博文館、1938(昭和13)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,578 字 · 18 页
初めは夢を見ている気持だった。然し直ぐあの怖ろしい出来事を思出して慄然と息をのんだ。――博士は乗出すようにしながら、
「どうだ、気がついたか」
「……先生!」
「もう大丈夫だよ、傷も大した事はない。虫が知らせたとでも云うのだろう。北村と一緒に様子を見に登って行ったのが間に合ったのだ。喉が痛むかね」
新田はそっと手をやってみた。頸が確りと繃帯で巻かれ、消毒剤の匂が強く鼻をうつ、然しひどく頭痛がするだけで別に気分に変はなかった。
「ああ起きない方が宜いよ」
「大丈夫です」
新田は静かに半身を起して、
「済みませんが水を一杯下さい」
「あたしが持って来てあげるわ」
桂子が走るように行って、洋盃になみなみと水を汲んで来た。
「有難う」
新田がひと息に飲干すのを見ながら、宗方博士は力抜けのした声で、
「吉井の傷も大分好いようだから、明日は此処を引揚げるとしよう。科学が伝説に負けて了った。残念だがこれ以上諸君を危険に曝す訳には行かん」
「僕は反対します、先生」
新田が静かに云った。
「どうして反対だ。現に君は怪鳥に襲われ、危く殺されかかったではないか」
「そうです。僕は怪鳥の動きだすのを見ました。