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はいとうだいのかいちょう
廃灯台の怪鳥
山本 周五郎
「少年少女譚海」博文館、1938(昭和13)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,578 字 · 18 页
午前二時頃であったろう。少し前から吹きだした東風が次第に強くなって、遥か百五十呎下の岩を噛む波の音が、深夜の空に凄じく咆え始めた。……すると全く不意に、ガタンと激しい音がして、歩廊へ出る扉が開き、どっと吹込んで来た風に煽られて卓子の上の洋灯が消えた。
「ひどい風だな」
覗いていた観測鏡を措いてそう呟きながら振返った時、新田は電気に撃たれたように其処へ立竦んだ。……見よ、壁に懸けられた怪鳥が、翼をいっぱいに拡げながら今にも襲いかからん姿勢で、眼前二呎の処に突立っているではないか。
「ギャアギャアギャア」
奇怪な叫声と共に凄じい羽叩きをする。
「あっ※(感嘆符二つ、1-8-75)」
新田は椅子から跳上った。然しその時、怪鳥は両の翼で彼を押包み、新田は喉へ冷たいものが鋭く掴みかかるのを感じたまま椅子と共に反ざまに顛倒した。
それからどのくらいの時間が経ったであろうか、ひどい渇きと烈い頭痛を感じながら、ふっと眼を開いた新田は、直ぐ眼前に心配そうな三つの顔を見出した。宗方博士と、令嬢と、助手の北村である。……洋灯の光も明るく、自分は寝台に寝かされているのだ。
――どうしたのだろう。