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「けんせつのめいあん」のいんしょう
「建設の明暗」の印象
宮本 百合子
「帝国大学新聞」1940(昭和15)年1月15日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,911 字 · 4 页
描いたときのあと、教子が演じている気持との間に、極めて微妙なずれがあるように感じられ、いろいろと考えさせられた。
本間教子は、友代の素朴な熱心な活動的な天稟のままに気稟の側から全幕を演じ、この幕もそのようなものとして自然に演じているのだけれど、作者としては、友代のそういう自然発生の活動性、積極的な人柄を、周囲との関係でどう考えて見ているのだろうか。国防婦人会の班長になった友代が、その役目のなかで発揮してゆく能動性について、作者は何と腹の中で見ているのだろう。そういうことにも、大衆の婦人の生活の中にかくされている能動的なものはきっかけをつかんでゆくものだ、という歴史的な目が、情愛をもって注がれているのだろうか。それとも、女のなかにある能動的なものそのものの肯定としてだけの範囲で見られているのであろうか。
友代の情熱、ユーモア、人間らしい親しみは、いずれも人柄として演じられて成功をおさめているというところも、以上のこととの関連で、芸術上の問題として興味がある。演じいかされているために、脚本にあるそういう本質の課題がつきつめられぬまま、観ている心に舞台の友代は或る共感を与えてゆくのであるから。