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やくにんがくさんそく
役人学三則
末弘 厳太郎
末弘厳太郎『役人学三則』。同一底本的分册已合并为一书。收入:役人学三則、役人の頭、嘘の効用、新たに法学部に入学された諸君へ、小知恵にとらわれた現代の法律学、法学とは何か。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,454 字 · 172 页
法律と社会との問に溝渠ができることは国家の最も憂えるところでなければならない。かくのごときは国家の不徳です。国家は全力を尽くしてその救治をはからねばなりません。
古来、暴君はしばしばその救治策として「道徳」を命令してみました。そうして人民をして暴君みずからの欲する法に近づかしめようとはかりました。現在わが国の政治家、ことに警察ないし司法に関係している役人の中には、今日なお同じような思想をいだき、法をもって「淳風美俗」をおこそうと考えているものが少なくないようです。しかし、この策が古来一度も成功しなかったこと、ことに近世に至っては全く失敗に終っていることは歴史上きわめて顕著な事実です。
そこで、近世的国家はこれと全く正反対な方策を考えはじめました。すなわち人民をして「法律」――暴君の命令――に近づかしめる代りに、国家みずからが進んで「人間」に近づくことを考えました。その考えが制度になって現われたものが、議会政治であり陪審制度であり、またなにびとといえどもすべていかなる役人にもなりうるという今日の制度です。また法律の上でも、例えば民法第九〇条の「公ノ秩序ハ善良ノ風俗ニ反スル事項ヲ目的トスル法律行為ハ無効トス」