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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

受朋友之托调查一个神秘女子的过去,却一步步走进她背后复杂的情感世界,真相远比你想象的更耐人寻味。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,333 字 · 385 页

青空文庫

十四

それで僕は母にあなたこそ行って遊んで来たら気保養になってよかろうと忠告した。母は懐から千代子の手紙を出して見せた。それには千代子と百代子の連名で、母と僕にいっしょに来るようにと、彼らの女親の命令を伝えるごとく書いてあった。母が行くとすれば年寄一人を汽車に乗せるのは心配だから、是非共僕がついて行かなければならなかった。変窟な僕からいうと、そう混雑した所へ二人で押しかけるのは、世話にならないにしても気の毒で厭だった。けれども母は行きたいような顔をした。そうしてそれが僕のために行きたいような顔に見えるので僕はますます厭になった。が、とどのつまりとうとう行く事にした。こう云っても人には通じないかも知れないが、僕は意地の強い男で、また意地の弱い男なのである。

十四

母は内気な性分なので平生から余り旅行を好まなかった。昔風に重きをおかなければ承知しない厳格な父の生きている頃は外へもそうたびたびは出られない様子であった。現に僕は父と母が娯楽の目的をもっていっしょに家を留守にした例を覚えていない。父が死んで自由が利くようになってからも、そう勝手な時に好きな所へ行く機会は不幸にして僕の母には与えられなかった。