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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

受朋友之托调查一个神秘女子的过去,却一步步走进她背后复杂的情感世界,真相远比你想象的更耐人寻味。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,333 字 · 385 页

青空文庫

二十二

「それで分るんでしょうか」と高木が不思議な顔をした。

「分ったらよっぽど奇体だわね」と千代子が笑った。

「何大丈夫分るよ」と叔父が受合った。

吾一は面白半分人の顔さえ見れば、西のもので南の方から養子に来たものの宅はどこだと聞いては、そのたびにみんなを笑わした。一番しまいに、編笠を被って白い手甲と脚袢を着けた月琴弾の若い女の休んでいる汚ない茶店の婆さんに同じ問をかけたら、婆さんは案外にもすぐそこだと容易く教えてくれたので、みんながまた手を拍って笑った。それは往来から山手の方へ三級ばかりに仕切られた石段を登り切った小高い所にある小さい藁葺の家であった。

二十二

この細い石段を思い思いの服装をした六人が前後してぞろぞろ登る姿は、傍で見ていたら定めし変なものだったろうと思う。その上六人のうちで、これから何をするか明瞭した考を有っていたものは誰もないのだからはなはだ気楽である。肝心の叔父さえただ船に乗る事を知っているだけで、後は網だか釣だか、またどこまで漕いで出るのかいっこう弁別えないらしかった。百代子の後から足の力で擦り減らされて凹みの多くなった石段を踏んで行く僕はこんな無意味な行動に、己れを委ねて悔いないところを、避暑の趣とでも云うのかと思いつつ上った。