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まちぼうけぎかいふうけい
待呆け議会風景
宮本 百合子
「週刊朝日」1940(昭和15)年2月18日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,980 字 · 14 页
けさ、新聞をひろげたら、『衆院傍聴席にも首相の「若き顔」』として、米内首相の子息の学生服姿が出ている。本当にこの息子さんの面ざしはお父さんの俤を湛えているけれども、この若人も、きのうはやっぱり地下室に蜒々と連らなった人の列に立ちまじって、先ず制服の警官にすっかり身体検査されたのかしらと面白く思った。
十一時までに入らないといけないということをきいたので、議事堂の建物からいえば横裏にあたる門から入って行ったら、もうぎっしりの人の列であった。携帯品預かり所の印半纏の爺さんが「細かいものは風呂敷に包むなり、ポケットへ入れるなりして下さい」と黒山の人の頭越しにどなっている。外套、帽子、襟巻、風呂敷包み、袋、傘、ステッキ。普通携帯品といわれる観念で、それらの品々をあずけた人が、そこから入った柵のところで警官に体をしらべて貰って、困った表情でいるのを見ると、眼鏡のケースを片手に握って当惑しているのであった。へえ、そうですか、こんなものもねえ。そういいながら、黒山の人だかりの方へ視線を向けて弱っている。
そこを通って、綺麗に真鍮の磨かれた階段をいくつか登ると、傍聴券検査所と黒札の下ったところへ入った。