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まちぼうけぎかいふうけい
待呆け議会風景
宮本 百合子
「週刊朝日」1940(昭和15)年2月18日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,980 字 · 14 页
そこには詰襟のフロックコートへ銀モールをつけたような制服の守衛とくすんだ色の上被りをつけた四十前後の女のひとが二三人いて、婦人傍聴人は一人一人その女のひとがまたすっかり帯の下へまで手を入れて調べるのであった。財布もここでは出した。外からさわってみてこれは何ですかしら、判ですか、鍵でしょうか。しきりに押している私の財布には、口紅が入っていた。口紅だと思いますけれど。――おあけ下さい。そういうと、女のひとは、失礼しますと財布をあけて、その口紅を見た。これらは、至極丁寧な根気づよい態度でされるのであった。
傍聴人控室へまで入ったときは婦人の傍聴人の誰一人としてハンドバッグを持っている者はないし、男にしろ鉛筆一本も持ってはいない。
控室には弁当、寿司、サンドウィッチなどを売る店があって、なかなか繁昌だ。十一時ごろ控室まで入って、十一時半傍聴席へ入場して、開会は一時というのだから、この店も自然と繁昌する刻限である。地方から上京して来ている相当の年配の、村の有力者という風采の男が相当多い。背中に大きい縫紋のついた羽織に、うしろ下りの袴姿で、弁当などつかっている。