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まちぼうけぎかいふうけい
待呆け議会風景
宮本 百合子
「週刊朝日」1940(昭和15)年2月18日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,980 字 · 14 页
聴えないぞ、といういいかたのはないところに、今日の時代の何ものかが語られているのだろう。ラジオを大きくしろ、ラジオを! とせき込んだ年よりの声もする。
吉田海軍大臣の声も、華やかなところはないが、聞きなれて来ると不明瞭ではなかった。
質問に入って、小川郷太郎氏が、経済問題を中心に熱弁を振った。特徴のある声の抑揚のつけかた、区切りかた、いかにも議員らしさの満ちた演説ぶりである。型にはまった抑揚でも、今日の社会生活の面にふれて、官僚独善に対する非難は囂々たるものがありますといえば、拍手は議席一体から湧きおこるのである。電力不足、石炭不足、悪性インフレーション防止、円ブロックの問題の対策如何に。米のないこと、マッチのないこと、それはどう解決されるのであろうか、政府の方針を守って買い溜をしなかったものは今日物資に不自由し、命を守らずして買いだめしたものは、不自由を感じていない。正に正直な者が罰せられたのであります。と演壇からいわれるとき、拍手が満堂をゆすって、さっき小競合をした隣りの婦人たちも、ほんとにねえと小声で囁きあっている。漱石の遺作で「暗翳」という未完成の作品がございましてね、なかなかどこにもないんですのよ、それを宅がやっと探して来てくれまして、と指環をいじりながら「明暗」