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ふくしゅう

復讐

豊島 与志雄

「風雪」1950(昭和25)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,806 字 · 20 页

青空文庫

なにしろ、女ばかりですからね。」

私は言い足した。――女ばかりだから、なお面白いのだ。事によっては、覆面でもして、強盗の真似をしてもよい。

「縁起でもありません。いけませんよ。」

私は言い直した。実は、おどろかすのはどうでもいいんで、照代の寝顔がちょっと見たいんだ。女というものは、起きてる時と眠ってる時とは、ずいぶん顔立が違う。照代もたぶんそうだろう。それをちょっと見たいんだ。

「ご冗談でしょう。よく知っておりますよ。姐さんの寝顔なんか、倦きるくらい見ていらっしゃるじゃありませんか。」

私は言い進んだ。――ほんとのところは、ひとりで眠ってる照代の顔が見たいんだ。側に誰もいず、ただひとりきりの、その寝顔が見たいんだ。それほど真剣に、照代が好きになってきた。一日でいいんだ。そしたらすぐに、黙って帰るよ。この気持、分るだろう。頼むよ。

「そりゃあ、姐さんもあなたが好きですよ。」

お多賀さんは突然別なことを言い出して、私の顔をまじまじと眺めた。私は顔の赤らむ思いがし、そして、へんに惨めな気持ちになった。

私は下向いて、黙りがちになった。お多賀さんの方で、いろんなことを饒舌りだした。