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びしょう
微笑
豊島 与志雄
「雄弁」1919(大正8)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,995 字 · 43 页
」
「そしてまた新らしいフラウでも……。」
「いや君そう短刀直入に来られてはどうも……。」
「然し随分御熱心のようだから。」
「そういえば君も随分熱心ではありませんか。」
「僕ですか、僕は退屈で仕方がないからまあ隙つぶしに来るようなわけですよ。」
「やはり君もそうですか。僕も実は退屈してやって来るようなわけです。何をしてもさっぱり面白くありませんからね。」
そんなことを話してるうちに電車がやって来た。なんでも三十分余も待たされたらしかった。
車内はこんでいた。で私達は別々に離れなければならなかった。
上野で下りた時、私達はまた一緒になった。そしてぶらぶら広小路の方へ歩いて行った。
「一寸何処かでお茶でも飲みましょうか。」と彼は云った。
もう夜店もしまわれていたし、何処も起きてる家はなかった。幸い其処の角にあるカフェーの表が開いていたので、その中にはいった。二階の室で四五人の客が大声に何か話し合ってるのが聞えたので私達は安心してゆっくり卓子につくことが出来た。そして麦酒をのみ、料理を食って、後にはウイスキーのコップまで据えさした。
私達は純白のテーブルクロースの上に両肱をついて、互にまじまじと顔を見合った。