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こころのしらべ

心の調べ

宮城 道雄

宮城道雄『心の調べ』。同一底本的分册已合并为一书。收入:心の調べ、雨夜の駅、音の世界に生きる、垣隣り、声と食物、声と性格、声と人柄、五十年をかえりみて、純粋の声、春雨、耳の日記、昔の盲人と外国の盲人、山の声、私のすきな人、私の若い頃、レコード夜話。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,958 字 · 66 页

青空文庫

私が、兵庫の中島※(「てへん+僉」、第3水準1-84-94)※(「てへん+皎のつくり」、第4水準2-13-7)に入門した時は、奥さんが私を抱きかかえるようにして玄関へあげてくれた。そこはお寺の玄関のようであった。普通は横の入口から入るのであるが、その日は特に大門を明けて迎えてくれたらしい。手ほどきをして貰った二代目中島※(「てへん+僉」、第3水準1-84-94)※(「てへん+皎のつくり」、第4水準2-13-7)は老先生であった。私はまだ物を見るくせがあったので、かえって糸間違いをしておぼえが悪かった。おばあさんが心配してものになるでしょうかと先生にたずねると、この子は、声が糸にのるから大丈夫と言われたが、もっとも声がのらなかったら音痴である。それから、十歳から十一歳の頃に、眼が全く見えなくなってから、箏の音色がほんとうに分ってきたようにおぼえている。

私の眼が見にくくなったのは、二十歳前後からであった。それ以前の子供の頃は、眼が悪いとは思えないほど普通であったらしい。みんなが、卵に目鼻のような大したお子さんだなどと言って可愛がってくれたが、それもつかの間で、だんだん地がねが出て、私より二つ年上の捨吉という兄弟子といたずらを始めた。