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こころのしらべ
心の調べ
宮城 道雄
宮城道雄『心の調べ』。同一底本的分册已合并为一书。收入:心の調べ、雨夜の駅、音の世界に生きる、垣隣り、声と食物、声と性格、声と人柄、五十年をかえりみて、純粋の声、春雨、耳の日記、昔の盲人と外国の盲人、山の声、私のすきな人、私の若い頃、レコード夜話。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,958 字 · 66 页
紙で蛇のようなものをこしらえて、先生の家の二階の手すりからぶら下げて、下を通る女中をびっくりさせてひどく叱られたこともあった。しかし、箏や三味線の練習は怠らなかった。それでも箏の組唄や三味線の本手などというややこしい曲は、よく忘れて始終叱られていた。
この老先生が亡くなって、私は三代目の先生にも習った。年を取れば取るほど、師の恩を感じるもので、私は四年ほど前に兵庫県の和田山という所へ演奏に行ったが、それは今、後をついでいられる四代目中島※(「てへん+僉」、第3水準1-84-94)※(「てへん+皎のつくり」、第4水準2-13-7)と一しょに演奏することを懐しく思ったからである。
私は東京へ出て来てからも、物資難で借金もあり牧瀬に質屋の使いをさせたこともあったが、家内が借金がきらいで、私の乏しいかせぎのなかから倹約でやりくりをしてだんだんにそれをうめて行った。現在の私は最も幸福な時であると思うが、この幸福な時に気をゆるしてはならぬと思う。世帯が大きければ大きいほどいろいろ面倒なことがあるが、一切のことを家内や牧瀬姉妹が引受けてくれているので、枝に連らなる社中一門の指導と、自分の研究に没頭すればよいのであるから、大いに元気を出して斯道に精進するつもりでいる。