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こころのしらべ
心の調べ
宮城 道雄
宮城道雄『心の調べ』。同一底本的分册已合并为一书。收入:心の調べ、雨夜の駅、音の世界に生きる、垣隣り、声と食物、声と性格、声と人柄、五十年をかえりみて、純粋の声、春雨、耳の日記、昔の盲人と外国の盲人、山の声、私のすきな人、私の若い頃、レコード夜話。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,958 字 · 66 页
夕食に一杯飲みながら、私がその箱をさぐっていると、※(「てへん+僉」、第3水準1-84-94)※(「てへん+皎のつくり」、第4水準2-13-7)の書いたものを見ると、鶯のことは、あまりくわしくはなさそうであるから、一つ教えることにするといって、いろいろ話された。
鶯の声には、上げ、中、下げというのがあって、上げは高く鳴き、中は中音、下げは落著いた静かな声である。鳴きはじめの「ホー」のひっぱり方にも、「ケキョ」の早さにも、いろいろ特徴のあることなど教えて貰った。また、谷わたりの節は、薮鶯が上手であるという話であった。わたしはその話を聞きながら、そっと箱へ耳をつけてきいてみたが、鶯はねむっているのか、何の音もしなかった。
百間氏は、この鶯を今夜一晩とまらせるから、明日ゆっくり聴くようにといいながら、あかりの工合がむずかしいからと、自分で置き場所を探して、其処において帰っていかれた。翌日は早くから、よい声を聞かせてくれた。わたしが箏の稽古を始めると、興にのったように、谷わたりや、いろいろに囀った。
私は今寝床の中で、こんなことを思い出している中に、さっきの鶯の声は聞こえなくなったが、春雨の音は、少し強くなっていた。