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こころもちについて

心持について

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,032 字 · 2 页

青空文庫

或瞬間(思い出)

正午のサイレンが鳴ってよほど経つ

少し空腹

工事場でのこぎりの音

せわしい技巧的ななめらかな小鳥のさえずり、いかにも籠の小鳥らしい美しさで鳴く

とつぜん ガランガランと

豆屋のベルの音がした。

そして私は思い出した。刑務所の

さむい朝と 夜とを、

主として夜を

その音が どっか遠くで順々にきこえ

いつも最後に女舎で鳴り、机をたたんで床をしいたのを。

今も宮がその音で床をしいているのを、

彼の眉としまった 少しへの字にした口許とを

Обара の気持

何だか宙で一つぐるんとぶんまわって 自分の体の上下がわからなくなったような 自分のこの社会におけるあり場所がわからなくなった感じ。

嘔気の出る感じ。

夜ふけのローソク

スエ子が、

ふっとふき消した、のにベッドのシーツのところが一部分白く、硝子もあかるく見えている。月がさしているようで、雨の音がしているのに 思わず目を上へやって見る、すると黒い幕を下からスッと急に上げたように四辺が真暗くなる、もう何も見えない。その瞬間の錯綜と或美しさ。