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「しんりしけん」じょ

心理試験

小酒井 不木

小酒井不木『心理試験』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「心理試験」序、外務大臣の死、国枝史郎氏の人物と作品、ヂュパンとカリング、二重人格者、ポオとルヴェル、歴史的探偵小説の興味、誤った鑑定、安死術、恐ろしき贈物、怪談綺談、稀有の犯罪、体格検査、被尾行者、変な恋、「マリー・ロオジェ事件」の研究。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,338 字 · 197 页

青空文庫

の皮肉というべきであった。

松島氏は外相夫人に依頼される前に、既に自分一人の興味のために、この事件を研究していて、到底尋常一様の手段では犯人を捜索することが出来ぬと信じていたので、夫人に依頼されたとき、そのことを告げて一応辞退したが、夫人は、「良人を犬死させたくはありません。出来ないまでも、とにかく手をつけて見て下さい」と泣かんばかりに懇願したので、松島氏は熟考の結果、

「それでは、私が従来試みたことのない探偵方法を行って見ますから、その取計らいをして下さいますか?」と言った。

「どんなことでも出来ることなら致します」と夫人はうれしそうに答えた。

松島氏のいう所によると、兇行後一ヶ月を経た今日現場捜査をしたところが何も見つかる訳がないから、それよりも当夜の気分をもう一度発生せしめて、その気分によって判断を下したい。それには当夜集った客のうち、日本人の男子だけでよいから、適当な夜を選んで、三十分程官邸へ集ってほしい。しかもそれは極内密にしてほしいというのであった。

夫人はそれくらいのことならば訳なく出来ますと答えて、松島氏の要求を首相に相談すると、首相も大いに同情して、その手順を追ったので、いよいよ十月下旬のある夜、松島氏の探偵実験が、外相官邸で行われることになったのである。