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「しんりしけん」じょ

心理試験

小酒井 不木

小酒井不木『心理試験』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「心理試験」序、外務大臣の死、国枝史郎氏の人物と作品、ヂュパンとカリング、二重人格者、ポオとルヴェル、歴史的探偵小説の興味、誤った鑑定、安死術、恐ろしき贈物、怪談綺談、稀有の犯罪、体格検査、被尾行者、変な恋、「マリー・ロオジェ事件」の研究。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,338 字 · 197 页

青空文庫

なお、品物は犯人が偶然残して置いたのであるように推定しているからである。このことは昨年の三月二十七日発行の「ゼ・デテクチヴ・マガジン」にボドキン判事によって指摘され、同氏は、この自家撞着があるために、この作品に対する期待を打ち壊されてしまったと言っている。

なお又、ウエルス女史が指摘したように、裾から腰の辺まで裂かれた布片が、マリーの腰のまわりを三重に巻くということも彼の論理的の矛盾ということが出来るのであって、実際に死体を発見した人たちが、死体には紐も縄も見られなかったと証言したところを見ると、このこともポオの空想から生み出された「事実」といってよいかも知れない。

いずれにしても、かような論理的の矛盾――ボドキン判事やウエルス女史の指摘した点及び、第一回失踪と第二回失踪との間の時日に関する点などが――この小説に発見されるということは、「マリー・ロオジェ事件」が、必ずしもメリー・ロオジャース事件を説明するもので無いと断言し得るのであって、ポオが推理の材料とした「事実」がまた必ずしも真実でないことを想像し得るのである。

して見ると、ポオがこの物語の一八五〇年版に附加した脚註(この文の最初に掲げた)はデフォーがしばしば用いた手段と同じように、読者の感興を深からしめるための方策に過ぎないといっても差支ないと思わ