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ちゅうぎ

忠義

芥川 竜之介

武士板仓修理被神经衰弱折磨,连畳角都像刀刃刺痛神经。身边无人理解,他还能守住这份忠义吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,171 字 · 27 页

青空文庫

……

そうかと云って、「主」をそのままにして置けば、独り「家」が亡びるだけではない。「主」自身にも凶事が起りそうである。利害の打算から云えば、林右衛門のとった策は、唯一の、そうしてまた、最も賢明なものに相違ない。自分も、それは認めている。その癖、それが、自分には、どうしても実行する事が出来ないのである。

遠くで稲妻のする空の下を、修理の屋敷へ帰りながら、宇左衛門は悄然と腕を組んで、こんな事を何度となく胸の中で繰り返えした。

―――――――――――――――――――――――――

修理は、翌日、宇左衛門から、佐渡守の云い渡した一部始終を聞くと、忽ち顔を曇らせた。が、それぎりで、格別いつものように、とり上せる気色もない。宇左衛門は、気づかいながら、幾分か安堵して、その日はそのまま、下って来た。

それから、かれこれ十日ばかりの間、修理は、居間にとじこもって、毎日ぼんやり考え事に耽っていた。宇左衛門の顔を見ても、口を利かない。いや、ただ一度、小雨のふる日に、時鳥の啼く声を聞いて、「あれは鶯の巣をぬすむそうじゃな。」とつぶやいた事がある。その時でさえ、宇左衛門が、それを潮に、話しかけたが、彼は、また黙って、うす暗い空へ眼をやってしまった。