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おもい
思い
伊丹 万作
情報局の映画新体制案について
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,336 字 · 9 页
いつたい今までだれが映画を作つてきたのだ。だれが映画を愛し、映画を育ててきたのだ。実質的な意味では、それはことごとく従業員のやつたことではないか。ことに事変以来、いかにすれば政府に満足を与え、同時に自分たちも国民としてあるいは芸術家として満足するような作品ができるかという点に関し、真に良心的に悩んできたものは、従業員のほかには決してありはしないのだ。しかも、自分たちの、そのような純粋な意欲が、多くの場合、板ばさみの苦境によつてゆがめられ、殺されてしまう悩みについて、あるいは、映画界の内部において、正しい理念からの改革の必要を予見し、政府の意図をただちに実践に移す熱意と理解を持つものは従業員のほかにはないということについて、一度でも官庁側の了解を求めたことがあつたであろうか。
断つておくが、私はいつまでも小児病的に、資本家だの従業員だのとものを対立的にしか見ないほど偏執的な人間ではない。しかし、今度の場合は、区々たる利害関係においてでなく、「国民としての良心の把持において」資本家と従業員の間には超ゆべからざるみぞのあることを、我々ははつきり知らされたのである。