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しそうどういんろん
思想動員論
戸坂 潤
「日本評論」日本評論社、1937(昭和12)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,012 字 · 18 页
だがお上の文化に権威を発見することは、みずから思想を所有し得ない場合のことだ。国民が少しでも思想的な能力を持ち始める限り、お上の文化であるが故に貴しとはしないようになるのである。実は逆に、抑々初めから文化的な信用などの全くない国権的名士達が、集って造り上げた文化活動機関に、或る何かの文化上のゴマ化しを直覚するのが、国民の正直な眼だろうと思う。この直覚された何かのゴマ化しを、国民は文化動員・思想動員・の名の下に、或る本質的に億劫なものとして見出すだろう。根本的に億劫がられただけでも、思想動員はまず駄目と見ねばならぬ。――思想文化の動員は、兵士の動員や軍需工場の動員のように簡単には行かぬものである。こうした意味の思想動員は恐らく困難であろう(日本文化中央連盟に対する注文を私は去る八月九日の『東京日々』の夕刊に書いたから省く)。
(一九三七・八)