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せいかくとしてのくうかん

性格としての空間

戸坂 潤

――理論の輪郭――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,569 字 · 39 页

青空文庫

また空間は客観そのもの(物自体)にぞくすのではなくして却って認識成立の制約・条件であるという考えを以て、通路は何かという今の問題を回避することも許されない。空間が自然概念構成の条件であるという主張は決して空間の最勝義な解釈ではなかったからである。私が今の二つの主張を捨てた時、その標語となっていたものは常に空間概念であった。人々は之を理由にして次のように想像するであろう、空間が実在であり、之に通達する通路は正に概念に外ならない、と。空間は空間としてあり吾々は之に対して空間そのものではなくして空間という概念――空間概念とは区別する――を有つのである、と*。

* 概念に二つの意味があることを再び注意しよう。今の場合人々は私の意味する処とは別なものを之によって意味しているのである。

この種類の考え方は最も屡々行なわれるのであるが、まずかかる考えの根本的な困難は空間と空間という概念とを対立させていることにある。一つは空間であり他は空間ではなくして一つの概念に外ならないかのようにである。もし空間を認識する通路が空間ではなくして空間という概念であるのならば、かかる空間はカントの物自体に似たものとならなければならぬであろう。