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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

「で、何かい。冷凍室のラッコの分配は、どういうことになるンだ」

縮毛の大男は、空嘯いた。

「船長の乃公の自由さ」

「何に! てめえが船長だと?」

「むろんさ。ピコル親分に代って、きょうから乃公が船長様だ。つまり、この船で一番強い人間が、宝物を独占していいわけだ」

「よし、じゃ誰が一番強いか、腕ずくでいくか」

「やるか!」

縮毛の大男と、若い水夫とが、野獣のような唸きを立てて、たちまち、肉弾相搏つ凄まじい格闘をはじめた。慾の深い水夫たちは、二人の勝敗如何にと、血眼になってこの格闘を見守っている。

「う……」若い水夫は、低い唸きを立て、縮毛の大男の胸に打かっていくが、そのたびに、甲板に投げ飛ばされた。

「おのれ!」

起ち上って、また突進すると、面倒なりとばかり、大男は、怪腕を揮って、若い水夫の顔面に一撃を加えた。

「あッ!」

そのまま、鮮血に染って倒れるやつを、足をあげて、脇腹を蹴ると、急所をやられたか、そのまま息絶えた様子。このさまを見て、他の水夫――頬に創痕のある物凄い男が、

「よしッ! 兄弟の仇だ! 来い」と、叫んで、縮毛の大男に突進した。が、これも、たちまち、血だらけになって、その場にへたばってしまった。