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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

じゃ、僕等も、どろぼうの手下にされたのかい」

「まアそうだ。しかも、さんざ、コキ使ったあとで、密猟が終り、満船して本国へ帰る途中、臨時に雇った水夫や、君たちのようなボーイを海ン中へ放り込んでしまうに都合がいいからだよ。つまり、東洋人を人間扱いにしていないのだ」

「どうして、海ン中へ放り込むのさ」

「この船の船員は、みんなピコル船長の乾児だろう。だから安心だが、臨時に雇った水夫やボーイたちは、上陸すると、この船の悪事を、みんな洩してしまう。それが怖ろしいので、毎年横浜や函館で、東洋人の水夫や、ボーイを雇って、北洋へ連れて往き、うんとコキ使って、不用になると、帰航の途中、海ン中へ放り込んでしまうのだ」

僕はこれをきくと、おもわず、義憤の血の湧き立つのを覚えた。

「ひどいことをするなア。こんな船に、一刻も乗ってられやしない。途中で、脱船しなくちゃ……」

「そうだよ。僕は、毎日そのことを考えているのさ」

「だって君は、船長に可愛がられているから、海ン中へ放り込まれる心配は無いじゃないか」

「いや、僕も東洋人だ。同じ東洋人のために、兇暴な白人と戦わねばならない」

陳君は、昂然と肩を聳かした。