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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
「まずまず安心」
そこで、僕は、また、鯨のお腹の上で横になろうとして、ふと、左手はるかに瞳を投げると、おもわず、
「おや!」
と叫んだ。そのおどろきも当然、はるか南東の洋上に、ふしぎな島が、うかんでいるではないか。しかも、その島は純白で、朝陽をいっぱいにうけて、銀色さんぜんと輝いているではないか。
「島かな。帆船かな。それとも氷山かな」
だが、氷山が、こんな暖かい風の吹く海洋まで流れてくるはずはない。では、貝殻の島かもしれない。貝殻や鳥糞が、島嶼のうえに堆積して、白い島にみえるのもある。けれど、その白さとちがって、あの銀色さんぜんと輝いているところは、どうしても氷山だ。
可笑しい。どうして、氷山が、こんな暖かい海洋へ流れて来て溶けないのかしら。
ふしぎにおもって、なおもよく見入っていると、僕を乗せた鯨の屍骸は、どうしたことか、いつのまにか、急速力を出して、かの氷山を目指して進んでいるではないか。
「おや、いよいよ可笑しいぞ。鯨が生き返ったのかしら」いや、生きたのではない。鯨の屍骸は、狂おしく迅い潮流に乗って、矢のように走り出したのだ。しかも、その方向は、はるか彼方に浮ぶ氷山を目指している。