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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
そう叫んで、われ先に、白堊の建物の方へ駈けだした。
「おお、日本の少年。君も、あの方船に乗って難を避けたがいい」老博士は僕を促した。
「博士は?」
「わしは、この人造島と、運命を倶にするとしようか」
「いけません、博士。僕と一緒に、あなたも、あの方船へ帰らなければなりません」
僕は、老博士の手を執って、ぐいぐい引張った。
「なるほど、君と一蓮托生の約束だったのう。……では、敵も味方も、あの方船に乗って、運命の海を漂流するとしようか」老博士はやっと歩き出した。
人造島は刻々に溶けてゆく。あと、一時間と経たぬうちに、洋上の浮島は、跡形もなく消え失せるだろう。人々は先を争うて、白堊の建物へのがれたが、果して方船は人々を収容して、海洋に浮び、潮流に乗って、大陸へ無事に流れて往くであろうか。老博士は、確信をもって、方船に避けよと勧めたのか。運命の方船よ。おまえは、果して、海洋に浮んでくれるか。
三 心臓と科学
どろぼう船が、亡霊のような怪老人の出現によって、いつのまにか、幽霊船となり、僕と豹のような水夫が、海へ飛込んだまでは、読者諸君も、すでに御承知のことだが、その後、幽霊船虎丸はどうなったか。