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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

物語は、しばらく運命の方船を追わず、幽霊船虎丸の甲板へ戻るとしよう。さて、幽霊船虎丸の甲板の、亡霊のような怪老人は、五ツの屍骸の横わる中甲板を、血の匂いを嗅ぎ、よろよろ歩き廻りながら、不気味な薄笑いを洩した。

「そろそろ仕事をはじめるかな」怪老人は、そのまま船室へ姿を消したが、すぐに大きな鞄を提げて現われた。五ツの屍骸に、ガラスのような瞳を投げながら、

「どいつを、料理ってやろうかな」

と、呟いた。いよいよ不気味なことを云う。

鞄の中から、いろんな怪しい道具を取出した。それは外科手術用の鋸や、メスや、消毒剤などだ。メスを握り、白衣の腕をまくり、大男の屍骸に居ざりよって、

「久しぶりで、肉を裂くのか。堪らないなア」

と、またも呟いた。おお、怪老人は、メスを揮って、大男の肉を裂き、肉を啖おうというのか。

怪老人は、大男の屍骸の胸をひろげ、左胸部のあたりに、ぐさりメスを突立て、肉を抉り取ったが、それを、一口に啖うと見ていると、そうではなく、なおもメスを突立て、まもなく、大男の血の滴る心臓をつかみ出した。

「なかなか見事見事」それを片手に持って眺め廻したが、こんどは、陳君の屍骸に居ざりより同じように、胸をはだけ、左胸部にメスを突立てた。