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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

「おお、これは壮観」

「こんなところに、こんな難所があるとはおもわなかった」将校も、操縦の下士も、あまりの物凄さに、暫し見惚れた。

「はやく、博士たちを救って下さい」

「はやくしないと、死んでしまいます」

「よし来た」将校は、大きく肯いて、もう一度渦巻の中心とおぼしい下界を見おろしたが、

「小僧! 幽霊船が、いやしないじゃないか」

僕も、陳君も、びっくりして下界を見おろすと、なるほど、大渦巻の中心に、捲き込まれて、独楽のようにぐるぐる廻っているはずの、死の船――幽霊船が、姿を見せないではないか。

「どうだ。小僧! やっぱり、おまえたちの夢だ」

「いいえ、たしかに、あの大渦巻に捲き込まれていたのです。僕等は、その幽霊船の甲板から、風船で脱れたのです。博士たちは、船に残っているンです。救けて下さい」陳君は、寂しげに云った。

「だって、幽霊船が、一向に見当らぬではないか。どうしたというンだ」

いくら、低空を旋回してみても、渦を巻く海上に、幽霊船の姿を見出すことが出来なかった。

「ああ、やっぱり、ほんとうの幽霊船だったかもしれないね」

とうとう、陳君は、こんなことを呟いた。