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きょうふのくちぶえ

恐怖の口笛

海野 十三

「富士」1934(昭和9)年8月号~11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,713 字 · 122 页

青空文庫

そういう声の下に、大入道のような五十がらみの肥満漢が、ゼイゼイ息を切りながら姿を現わした。――どうやら二人は連らしい。

「大辻さん。赤星ジュリアの外に、もう一人若い男が殖えたぜ」

と、少年は小慧しい口を利いた。

「ほう、そうじゃなア」

そういうところを見ると、既に二人はジュリアが屍体のところへ来たのを知っていたらしい。

「皆さん。そこにある屍体を見るのはかまわないけれど、手で触っちゃ駄目だよ。折角の殺人の証拠がメチャメチャになると、警官が犯人を探すのに困るからネ」と少年は大真面目でいってから、大辻と呼ばれる大男の方に呼びかけた。「どうだい大辻さん。この殺人事件において、大辻さんは何を発見したか、それを皆並べてごらんよ」

「オイよさねえか、勇坊。みなさんが嗤っているぜ」

と大辻は頭を掻いた。

「まあ面白いこと仰有るのネ。あなた方は誰方ですの」

ジュリアは、眼のクルクルした少年に声をかけた。

「僕たちのことを怪しいと思ってるんだネ、ジュリアさん。僕たちは、ちっとも怪しかないよ。僕たちはこれでも私立探偵なんだよ。知っているでしょ、いま帝都に名の高い覆面探偵の青竜王ていうのを。