轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きょうふのくちぶえ

恐怖の口笛

海野 十三

「富士」1934(昭和9)年8月号~11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,713 字 · 122 页

青空文庫

この喧噪の中に、室の一隅の卓子を占領していたのは大江山捜査課長をはじめ、手練の部下の一団に、それに特別に雁金検事も加わっていた。いずれも制服や帯剣を捨てて、瀟洒たる服装に客たちの目を眩ましていた。なお本庁きっての剛力刑事が、あっちの壁ぎわ、こっちの柱の陰などに、給仕や酔客や掃除人に変装して、蟻も洩らさぬ警戒をつづけていた。かれ等一行の待ちかまえているものは、奇怪なる挑戦状の主、痣蟹仙斎の出現だった。痣蟹はいずこから現れて、何をしようとするのであろうか。

ところがその夜の客たちは、検察官一行とは違い、また別なものを待ちかまえていた。それは今夜十時四十分ごろに、このキャバレーに特別出演する竜宮劇場のプリ・マドンナ、赤星ジュリアを観たいためだった。ジュリアの舞踊と独唱とが、こんなに客を吸いよせたのであった。

夜はしだいに更けた。屋外を行く散歩者の姿もめっきり疎らとなり、キャバレーの中では酔いのまわった客の吐き出す声がだんだん高くなっていった。時計は丁度十時四十五分、支配人が奥からでてきてジャズ音楽団の楽長に合図をすると、柔かいブルースの曲が突然トランペットの勇ましい響に破られ、軽快な行進曲に変った。