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きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
「富士」1934(昭和9)年8月号~11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,713 字 · 122 页
聞いてますか、青竜王」
「イヤ熱心に聴いているよ。それで分った。キャバレーの主人ポントスも、本国からそのパチノの墓穴探しに来ているのだ。その一方、痣蟹もたまたまこの秘密を嗅ぎだして、本国で墓穴の建築図などを手に入れ、日本へ帰って来たのだ。すべての秘密はそのパチノ墓穴に秘められているのだよ。パチノ墓穴の場所については、いささか存じよりがあるが、しかしパチノの遺族を捜し出すのはちょっと骨が折れるネ。しかし何事も墓穴の中に在ると思うよ。では勇君、――」
「待って下さい。青竜王はいま何処にいるのです。これから何処へ行くのですか」
「僕のことなら、決して心配しないがいいよ。――」
そういって青竜王は受話器をかけた。心配でたまらない勇少年は、電話局に問いあわせると、なんと不思議なことに、青竜王のかけた電話は、やはり竜宮劇場の中のものだった。彼は一体どこに姿を秘めているのだろう。
それから空しく二日の日が過ぎた。
事件は一向思うように解決しなかったが、その代り、新たな吸血鬼事件も起らなかった。とうとう吸血鬼は滅んだのであろうか。
詳しく云うと七日の午後になって、痣蟹の乗って逃げた気球が、箱根の山林中に落ちているのが発見された。